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もう1つのコンセルトヘボウ
モーツァルトのレクイエムを聴いてきた。
母のおすすめ。 ブラームスのドイツレクイエムもいいけれど モーツァルトのレクイエムもすごくいいよ、とのことで。 モーツァルトの死後、弟子のジュースマイヤーが完成させた作品には 批判が多く、これまでに何人かの人が補作をおこなってきたのだが、 きのうは最新版の アムステルダム音楽院の音楽理論教師、 クレメンス・ケンメ(Clemens Kemme)氏のものが演奏された。 写真はコンサート開始前に20分ほど ジュースマイヤーとのちがいをCDを流しながら説明する ケンメ氏(右)。 わたしはまったくシロウトだが ケンメ版、いい感じで拍手を受けていた。 25日もきのうも満席だそう。 わたしはいつもの自分の席でひっそり楽しく聴いていた。 歌詞カードがあったので ラテン語を目と耳で追い、オランダ語訳に目を通しながら。 もうすぐ終わり、というころに そういえば今日は〈家〉とコネクトしてるかな、と思って シャンデリアを見つめていたら―― きのうもばっちり繋がっていて 芦屋の家の映像が頭の中に鮮明によみがえってきた。 コンセルトヘボウで音楽を聴いていると 自然と涙が溢れてきて、 シャンデリアを見ていると オランダに来るまで暮らしていた家に舞い戻れる―― そんな自分だけのコンセルトヘボウの楽しみ方があることに あるとき、気がついたのだ。 あまりになつかしくて 家に帰って昔の写真を探してしまった。 いまはなき、この家。 ボロボロで、 友だちの住むモダンなマンションがうらやましかったのだけれど。 コンセルトヘボウに行ってシャンデリアを見つめていると この家の映像が出てくる、ということは、 もしかして反対側の 子どものころの家からも、 コンセルトヘボウが見えていたのかも?! レクイエムを聴き、 昔の家にトリップしていると こんな言葉が頭のなかに浮かんできた。 (わたしはいい音楽を聴くために ここに来たんだ!) ここ、とはコンセルトヘボウではなく、オランダ。 きっとこれがわたしの人生で、 何世代も前から決まっていたことなんだ。 わたしの体の中に入っている みんなの遺伝子が音楽に触発されて 目覚めるような感じ。 真珠の養殖から海外に出た御木本のおじいさん。 医学でベルリンに留学した祖父。 バイオリンで同時期、ベルリンに留学した大伯母。 祖父の学会でヨーロッパを巡った クラシックの大好きだった祖母。 その祖母に育てられた母。 海外に出たことのなかった叔父(母の弟)までもが オランダに留学したとき、 いい音楽をたくさん聴くように、と CDプレーヤーを送ってくれたことを思い出して また涙が出た。 オランダに住むのは1年だけのつもりだったので 祖母におねだりして コンセルトヘボウの定期券も買ってもらったのだった。 みんな天国から(あるいはわたしの体の中から) いっしょに聴いている。 みんながわたしがここにいることを 自分のこととして喜んでくれている―― そんな想いが胸いっぱいに溢れた。 実際のコンセルトヘボウとはべつに わたしだけのコンセルトヘボウがあるような。 もしかしたら、他にも そんな不思議な体験ができるから 通ってきている人たちがいるのかもしれない。 レクイエムもすばらしかったし 頭のなかのひとり遊びも楽しい とてもいい夜でした。 昨夜のケンメ版レクイエムは Radio 4でも生放送されたので、 夫が録音してくれたものを 母にも送って聴いてもらおう。 オランダ文化に興味があって留学してきたのは わたしの選択。 親戚とか先祖とかは反抗する対象であり、 〈家〉が嫌ではるばるこんなところまで 出てきたのだが、 結局、そこは〈家〉と繋がっていた―― それが、50歳のわたしの原点のような気がする。
by orandanikki
| 2013-05-29 04:25
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